動物に身体的、精神的苦痛を与えること全般を言います。
動物虐待とは、単に暴力をふるうことだけではなく、所有者が当然負うべき適正な飼育義務及び責任を怠っている場合(ネグレクト)も虐待と見なされます。
痛みや苦しみを口に出すことのできない動物たちは、ただじっと耐えるしかありません。
飼い主の無知による悲劇をなくすためには、周りの人たちが身近な動物たちに関心を持ち、見て見ぬふりをしないことです。
人間側の一方的な拷問に苦しむ動物たちのために、以下の行為(状態)を発見したら、地元の警察、保健所などに通報しましょう。
「動物虐待」はれっきとした犯罪です。
第六章 罰則
第四十四条
愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。
2 愛護動物に対し、みだりに、その身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある行為をさせること、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、その健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束し、又は飼養密度が著しく適正を欠いた状態で愛護動物を飼養し若しくは保管することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であつて疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であつて自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行つた者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
3 愛護動物を遺棄した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
4 前三項において「愛護動物」とは、次の各号に掲げる動物をいう。
一 牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
二 前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの
*なお、食用にしたり、治る見込みのない病気やけがで動物がひどく苦しんでいるときなど、正当な理由で動物を殺すことは虐待ではありませんが、その場合でもできる限り苦痛を与えない方法をとらなければなりません。
動物虐待には2つのタイプがあります。
意図的虐待
やってはいけない行為を行う・または行わせる
- 動物に殴る・蹴る・熱湯をかける・動物を闘わせる等、身体に外傷が生じる又は生じる恐れのある行為・暴力を加える
- 動物にストレスや恐怖を与える
- 動物を酷使する
以下、環境省が平成22年、各都道府県・指定都市・中核市動物愛護主幹部(局)長あてに通知した「飼育改善指導が必要な事例(虐待に該当する可能性、あるいは放置すれば虐待に該当する可能性があると考えられる事例)」(環境省サイト)
2 . 動物取扱業者等
- 餌が十分でなく栄養不良で骨が浮き上がって見えるほど痩せている(病気の場合は獣医師の治療を受けているか。高齢の場合はそれなりの世話が出来ているか。)。
- 餌を数日入れ替えず、餌が腐っていたり、固まっていたりして、食べることができる状態ではない。
- 器が汚く、水入れには藻がついている。あるいは、水入れがなく、いつでも新鮮な水を飲むことができない(獣医療上制限されているときを除く)。
- 長毛種の犬猫が手入れをされず、生活に支障が出るほど毛玉に覆われている。
- 爪が異常に伸びたまま放置されている。
- (繋ぎっぱなしで散歩にも連れて行かず、)犬の糞が犬の周りに何日分もたまり、糞尿の悪臭がする。
- 外飼いで鎖につながれるなど行動が制限され、かつ寒暑風雨雪等の厳しい天候から身を守る場所が確保できない様な状況で飼育されている。
- 狭いケージに閉じ込めっぱなしである。
- 飼育環境が不衛生。常時、糞尿、抜けた毛、食餌、缶詰の空やゴミがまわりにちらかっており、アンモニア臭などの悪臭がする。
- 病気や怪我をしているにもかかわらず、獣医師の治療を受けさせていない。
- リードが短すぎて、身体を横たえることができない。
- 首輪がきつすぎてノドが締めつけられている。
- しつけ、訓練と称するなどし、動物に対し殴る、蹴る等の暴力を与えたり、故意に動物に怪我をさせたりする。
- 事故等ではなく、人為的に与えられたと思われる傷が絶えない。
- ケージが狭く、動物の排泄物と食餌が混在した状態で放置されている。動物が排泄物の上に寝ている。
- 常時水を置いていない。あるいは、水入れはあるが中に藻が付いていたりして不潔である。
- 幼齢にもかかわらず、食餌を適切な回数与えず(例えば朝晩の2回のみ等)、また、それで問題ないと説明している。
- 糞尿が堆積していたり、食餌の残渣が散らかっていたりして、清掃が行き届かず、建物内、ケージから悪臭がする。
- 動物の体が著しく汚れている。
- 病気や怪我をしているにもかかわらず、獣医師の治療を受けさせていない。
- 飼育環境が飼育している動物に適していない(温度・湿度の調整も含む)。例えば、西日が当たるなど建物内の温度が上昇した場合、あるいは、その逆で、冬季に低温となった場合に対応しない。
- 多頭飼育で、飼育環境が不衛生。常時、糞尿、抜けた毛、食餌、缶詰の空やゴミがまわりにちらかっており、悪臭がする。
- ケージ内で動物を過密に飼育している。
- 店内の大音量の音楽、または過度の照明にさらされることにより動物が休息できない。
- しつけ、訓練と称するなどし、動物に対し殴る、蹴る等の暴力を与えたり、故意に動物に怪我をさせたりする。
- 体調不良、不健康な動物をふれあいや散歩体験等に使用する。
- 出産後、十分な期間(離乳し母体が回復するまでの間)を経ずに、また繁殖させる。
捨てる、置き去りにする行為を言います。
日本では、昔から生き物を「捨てる」という行為そのものがタブー視されていないことに加え、「死」を選択することへの強い抵抗感から、飼えなくなった犬や猫を、公園や山などに置き去りにする人々が未だに数多く存在します。
捨てる人の多くは、誰かが拾ってくれるだろうと自分に都合のよいことしか考えませんが、実際に保護され、その後本当に幸せになるケースは極めてまれです。 ほとんどが、捨てられた直後から飢えや寒さ、恐怖、病気、事故、虐待などに苦しみ、時間をかけて無残な死を迎えます。
また、運よく生き延びたとしても、捨てられた地域で迷惑な存在となり、挙句、残虐な動物虐待に繋がるケースも少なくありません。
「遺棄」という行為は、動物愛護の精神を傷つけるだけでなく、自分さえよければ捨てられた地域住民の迷惑や精神的被害はどうでもいいという、極めて身勝手な考えに立脚しています。
昨今、「地域猫活動」や「TNR活動」が認知されてきたことに伴い、わざと活動現場に猫を捨てる悪質な人間も増えていますが、テリトリーの中で生きる習性を持つ猫にとって、新たな侵入者は攻撃の対象となり、結果、弱い猫は次から次へと追われ、その生存率も限りなく低いと言えます。
「遺棄」は、ある意味、愛護センターで殺処分されるよりはるかに残酷なことなのです。 近年は、日本に生息していなかった外来生物が捨てられたために、生態系破壊が起こり、大きな社会問題にもなっています。 「遺棄」も虐待同様、動物にとって罪深い行為であり、上記、「動物の愛護および管理に関する法律」で罰せられます。
*統計上、日本はアメリカなどに比べると、はるかに殺処分数が少ないですが、数字に反映されないだけで、実際は、山などに遺棄され、飢えや病気、ロードキル(事故による路上死)などで命を落としている動物たちが無数にいます。