PETAは、猫を捕獲し、不妊去勢手術を施し、そして再び放すというやり方や、「管理された」猫の居住地域を設けるというやり方を見てきた経験から、こうした方法が必ずしも猫に最善の利益をもたらすとはいえないと信じるに至りました。我々は、猫たちが「自分で生きてゆきなさい」と屋外に放置されたために苦しみ無残に死んでいるという実態を直接目にし、また数えきれないほどのそういう報告を受けてきました。多くの猫が「管理された」居住区域に住み、通常そこでは餌がもらえます。しかし、あまりにも多くの野良猫の苦痛に満ちた死を目撃してきた我々は、捕獲し不妊去勢して再び放すというやり方を、野良猫の増えすぎと野良猫の境遇に対応する人道的方法であると推奨することはできません。
大部分の家のない猫には、恐ろしい運命が待っています。彼らは長生きし老衰で死ぬということがないのです。もしあなたが猫を飼っているなら、獣医の医療が必要不可欠だということを知っているはずです。猫は心臓病、白血病、膀胱の疾患、耳の感染症、その他たくさんの病気にかかります。あなたの猫が屋外で暮らしていて、その猫が問題を抱えていることにあなたが気付かないとか、明らかな症状を見つけても治療してやるために捕まえることができないとか、そんな状態を想像してみて下さい。鼻腔気管炎、猫エイズ、狂犬病のような伝染病は「外で暮らす猫」にはよくある病気です。彼らはまた他の動物の攻撃や車との衝突によって、刺傷や骨折や脳の損傷をかかえたり、片目や片足を失っていたりします。
冬の数ヶ月間、寒さから逃れたいと車のボンネットに潜り込む猫たちを、車のエンジンファンが切り裂きます。もし猫たちがこの危険から逃れても、なお彼らは残酷な人々の手で苦痛に満ちた死の犠牲となるかもしれません。我々の事務所は毎日毎日猫の虐待についての電話であふれかえっています。なぜならアメリカ中で、勝手にうろつき回る猫たちは手足を切断され、撃たれ、水に沈められ、毒をもられ、殴られ、火をつけられ、儀式の犠牲とされ、バンチャーと呼ばれる者たちに動物実験用に盗まれたり、闘犬用の「獲物」として使われたりしているからです。
捕獲―不妊去勢手術―再び放す というシステムを提唱する人々は、野良猫は他の猫たちと同様に配慮される資格がある、彼らの苦しみを軽減し安全を確保するのは私たちの責任だと主張します。我々はそれに全面的に賛成です。もちろんその理由は、我々が誰に対しても、決して自分の猫を駐車場とか倉庫街とかに捨てるよう勧めないように、同じことを野良猫にもしないように求めるからです。
野良猫に不妊去勢手術をすることが、次の世代の苦しむ猫を作らないことだとしても、それで、野良猫が出くわすかもしれないうんざりするほど多い他の問題から彼らを守ることにはなりません。猫たちが敵意に囲まれた環境で生き抜くために日々苦闘し続ける状況を容認することは、思いやりのある選択とはとてもいえません。
我々は、野良猫を捕獲し、予防ワクチンを与え、不妊去勢処置をして再び放すという方法は、以下の様な場合に限って容認できると信じています。その猫たちが、彼らを傷つけるかもしれない道路、人間、動物から切り離されている。餌を与えるだけでなく獣医の治療も受けさせる人々が規則正しく世話をしている。そして野生動物と遭遇することなく、気候が穏やかな地域であるという場合です。それでも残る最大の問題は、一度不妊去勢手術のために捕まった猫の多くは、病気や怪我をして治療が必要になっても、二度と罠におびき寄せることができないということです。
PETA 目次 |
PETAについて |
アニマルライツについての妥協なき姿勢 |
1 カゴに入れられた鳥たち |
2 キャッチアンドリリースフィッシング |
3 犬のつなぎ飼い |
4 犬や子犬を檻に入れてしつける |
5 猫の爪を取る手術 |
6 電気ショックを用いた犬の訓練 |
7 安楽死 |
8 野良猫 |
9 命を奪い取る慈善活動 |
10 ノーキルシェルター |
11 外飼いの猫 |
12 いわゆるペット |
13 ピットブルの繁殖禁止 |
14 肉食動物の移住計画 |
15 「信頼できるブリーダー」など存在しない |
16 PETAの戦略 |
17 なぜアニマルライツなのか? |
18 動物園 |
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